室内で過ごしているときに、鼻水や咳、涙が出るなど身体の不調が起きて悩んでいる人はいないでしょうか。夏や冬に症状がよく出るのであれば、エアコンの利用によるハウスダストの増加が原因の可能性があります。
この記事では、エアコンでハウスダストが増加する原因や、それにより引き起こされるアレルギー症状について解説します。また、ハウスダストの拡散を抑えられる暖房器具のオイルレスヒーターについても紹介するため、自宅でいまよりも快適な時間を過ごしたい方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
ハウスダストとは、室内に存在するほこりやカビなどの微粒子の総称です。ほこりやカビを含めて、主に以下のようなものがハウスダストに該当します。
ハウスダストが有害だと言われている理由は、吸い込むと免疫に異常が発生し、アレルギーを引き起こす可能性があるためです。また、室内で咳や鼻水などが出る場合、利用中のエアコンがハウスダストを増加させているケースが考えられます。
室内の空気を取り込んだり、風を発生させたりするエアコンは、使用を続けているとハウスダストが増加します。ここでは、エアコンの利用でハウスダストが増える原因について解説します。
エアコンは、室内の空気を取り込んで、設定温度に変換をするのが基本的な仕組みです。空気を取り込む際には、ハウスダストであるほこりなどの異物も同時に吸い込んでいます。
エアコン内にあるフィルターだけでは、微細なほこりまでは防ぎきれません。エアコン内部にほこりが蓄積されるたび、ハウスダストが発生しやすい状況が作られてしまいます。
エアコン内部には、以下のようなカビが繁殖しやすい条件がそろっています。
夏場の冷房運転を停止したあとは、エアコン内部の湿度が85%以上になるケースがあり、とくにカビが発生しやすくなります。熱交換器により暖かい空気が冷却され、湿度上昇の原因となる結露が起きることが原因です。
ほか、10℃前後の温度でもカビは生えますが、20℃台ではより繁殖が進みます。くわえて、エアコン内に溜まったほこりや汚れがカビの栄養となり、さらに増加していきます。
夏場のエアコン内で増殖するのは、高温多湿な環境を好むダニです。エアコンに蓄積されたほこりがダニの栄養源にもなるため、放っておくとさらに数が増えていきます。
ほか、生きているダニだけでなく、死骸やフンもアレルギーの原因です。ダニの増加にともなって溜まった死骸やフンは、エアコンの風により拡散されていってしまいます。
アレルギー反応とは、ハウスダストのような特定の異物に対して、免疫が過剰に反応することです。特定の異物は、総称してアレルゲンと呼ばれています。
アレルギー反応は、アレルゲンが目や鼻、口に入ったときに症状が引き起こされるのが特徴です。ここでは、ハウスダストが原因のアレルギー疾患の代表例を紹介します。
アレルギー性鼻炎とは、アレルギーの原因物質であるアレルゲンが鼻に入り、免疫反応が起こる症状です。くしゃみや鼻水、鼻づまりが発生するため、鼻アレルギーとも呼ばれています。
アレルゲンのなかでも、ハウスダストであるダニやカビなどが原因でアレルギーが引き起こされます。
アレルギー性結膜炎は、アレルゲンが目の表面の結膜に付着してアレルギー反応が生じる病気です。主に、以下のような症状が発生します。
発症の原因は主にダニやペットの毛であり、エアコンの風で舞ったタイミングで目に入ってしまうケースがあるでしょう。
気管支喘息は、空気の通り道(気道)が炎症により狭くなる病気を指します。咳や痰のほか「ゼーゼー、ヒューヒュー」のような呼吸音が出て息が苦しくなる喘息発作が主な症状です。
気道に炎症が起きる原因はカビやほこりなどであり、これらを繰り返し吸い込むと、過敏性肺炎を引き起こすこともあります。過敏性肺炎の主な症状は、痰をともなわない乾いた咳や発熱などです。
アトピー性皮膚炎とは、かゆみをともなう皮膚炎が、悪化したり良くなったりを繰り返す症状です。発症する部位が限定されておらず、全身に炎症が現れる可能性があります。
ダニや花粉などのアレルゲンの侵入が原因であり、乾燥などにより皮膚のバリア機能が低下しているときに発症します。
シックハウス症候群は、室内空気環境の悪化が原因で起きる病気です。症状は人によりさまざまであり、主に以下のような身体の変化が起こります。
シックハウス症候群の原因は、建材などから検出される化学物質や、細菌やダニなどの発生による室内空気環境の悪化です。同じ室内にいても、影響を受けない人と症状がよく出る人がいます。
室内にハウスダストが増加するのを防ぐためには、エアコン本体の掃除やメンテナンスが必要です。ここでは、エアコン本体のハウスダストを除去・予防する方法を解説します。
フィルターの掃除をしなければ、エアコンの効きが悪くなるだけでなく、ほこりを栄養分にしてカビの発生にもつながります。カビが発生した状態でエアコンを運転すると、風に乗って室内にハウスダストが拡散されてしまうでしょう。
フィルター掃除は、2週間に1回程度を目処に行うことが大切です。
エアコンフィルターの基本的な掃除の手順を解説します。
フィルターの汚れがひどい場合は、エアコンから取り外したのちに、スポンジや歯ブラシなどを使い台所用の中性洗剤で洗いましょう。その際に、洗剤が残らないように水洗いも同時に行ってください。
エアコンによっては、フィルター掃除機能が付いているものがあります。フィルターに付着したほこりを検知し、自動で収集・排出する機能であり、ある程度のフィルター掃除を自動で終えられるのが特徴です。
専用のダストボックスにほこりが溜まっていくため、定期的にダストボックス自体のお手入れが必要な点には注意しなければなりません。また、あくまでもほこりを取り除くだけでカビを除去できるわけではないため、取扱説明書にしたがって掃除はおこないましょう。
ハウスダストを除去するためには、フィルターだけでなく、吹き出し口やエアコン本体も掃除する必要があります。カビはエアコン内部で発生し繁殖するため、フィルター以外の部分の清掃をしなければ、室内にハウスダストが増加してしまうでしょう。
吹き出し口やエアコン本体の掃除方法を、部位別に解説します。
内部にある熱交換器は水に濡れると故障する恐れがあるため、触れないように注意してください。
エアコン本体を掃除するときには、以下のものを使用しないよう注意が必要です。
実際に、エアコン内部の配線の端子部分に洗浄液が付着し、起動時に異常発熱が起こり火災が発生した事例があります。
メーカーからも、市販の洗浄スプレーを使用しないよう注意喚起が出ています。腐食の原因にもなるため、基本的には水とぞうきんを使って掃除を実施しましょう。
すでにアレルギー症状が出ているのであれば、内部のカビまで洗浄ができるエアコンクリーニングの実施がおすすめです。
フィルターや吹き出し口にカビがあると、内部にも増殖している場合があります。エアコンの内部は分解して洗浄する必要があるので、プロにまかせるのが一般的です。
自分で分解するのは、故障や部品を戻せなくなるリスクがあるため避けなければなりません。エアコンクリーニングを実施する頻度は、1年に1回程度を目安にしておくと清潔な状態を保ちやすいでしょう。
冷房使用時は、熱交換器で空気を冷やすことによって結露が生じます。使用後に送風運転を1~2時間行い、エアコン内部を乾燥させれば、ダニやカビの増殖の予防が可能です。
エアコン使用後の送風運転は、毎日の実施が望ましいとされています。難しい場合は、2~3日に1度でも操作して内部を乾かすことが大切です。
自動乾燥機能が搭載されているエアコンなら、運転停止後に自動で内部の乾燥が行われるため積極的に活用しましょう。
室内に存在するハウスダスト自体を減らしてしまえば、エアコンの風による拡散を防ぎやすくなります。ここでは、エアコン利用時のハウスダスト拡散を抑える対策について解説します。
エアコンのスイッチを入れた直後は、エアコン内部に溜まっているカビの胞子などが舞いやすくなります。異物を吸い込まないように、5〜10分ほど窓を開けて換気をすると良いでしょう。
また、夏や冬などのシーズン毎で、エアコンをはじめて作動させるときに換気をすると、ハウスダストの拡散を防げます。
室内に舞うほこりやダニの死骸などを除去するには、空気清浄機が有効です。とくに「HEPAフィルター」を採用している機種であれば、異物を吸い取るのに適しています。
HEPAフィルターとは、空気中の微細な粒子をキャッチできる高性能なフィルターのことです。フィルター掃除はこまめにする必要があるものの、部屋の広さに適したものを選べば、稼働させているだけで効果的にハウスダストを減らせるでしょう。
床に溜まったダニの死骸やほこりなどを掃除機で吸い取れば、エアコンの風によるハウスダストの拡散を防止できます。
掃除機は「HEPAフィルター」のような高性能なフィルターを搭載した機種の使用がおすすめです。一般的なフィルターとくらべて、より細かなハウスダストの除去が期待できるでしょう。
拭き掃除は、ほこりやペットの毛などを舞い上がらせずに除去できるだけでなく、掃除機がけよりも効果が高いのが特徴です。固く絞ったぞうきんや、ウェットタイプの掃除用シートで拭き掃除をすると、ハウスダストをスムーズに取り除けます。
エアコンの掃除やクリーニングをしても、ハウスダストがゼロの状態を維持するのは難しいのが現実です。クリーニングから数週間程度にも関わらず、カビが発生することも珍しくありません。
アレルギー症状が出てしまうのであれば、暖房器具をエアコン以外のものに変えるのも有効な手段の一つです。たとえば、温風を発生させない暖房器具を使用すると、室内のハウスダストの拡散を抑えられます。
おすすめの暖房器具については、次の章で紹介します。
オイルレスヒーターとは、室内の空気を取り込みヒーターで暖める機械です。上部から押し出されるように出る暖かい空気と、側面から放出される熱により、ハウスダストの拡散を抑えつつ部屋を暖められます。
ここでは、オイルレスヒーターが、ハウスダスト対策におすすめの理由を解説します。
オイルレスヒーターは、内部に結露が生じないため、エアコンにくらべてカビの発生を防ぎやすいのが特徴です。また、オイルヒーターの場合はオイルを充填しているフィンが密閉されており、ほこりやダニが入り込む心配も減らせるでしょう。
オイルレスヒーターやオイルヒーターであれば、専門業者に有償で分解掃除を依頼せずとも、常に清潔な状態を保てます。日頃のお手入れも、本体外側をやわらかい布か固く絞った布で水拭きするのみで問題ありません。
エアコンのような温風が発生しないため、室内に巻き上がるほこりやダニの量を減らせます。アレルギーに敏感な家族がいるのであれば、いまよりも快適に冬場を過ごせるでしょう。
また、暖房器具をオイルレスヒーターにすると、エアコンを稼働させる期間を夏場だけに限定できます。エアコンが原因によるハウスダストの増加を抑えつつ、空気を清潔に保てるのがオイルレスヒーターです。
自宅でアレルギー症状が出て苦しいときは、室内に溜まったハウスダストを吸い込んでいる可能性があります。とくに、エアコンの内部はカビが溜まりやすく、風に乗って室内へ拡散してしまうため、定期的な清掃をする必要があるでしょう。
エアコンの汚れやカビを除去してもアレルギー症状が出る場合は、暖房器具を変えるのがおすすめです。オイルレスヒーターであれば、内部にカビが発生せず、温風も使わないためハウスダストの増加と拡散を防ぐ効果があります。
ハウスダストによる心配を減らしつつ、家族全員で快適な時間を過ごしたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせやご相談はこちらから。
【参照サイト】独立行政法人 国民生活センター
【参照サイト】一般社団法人 日本呼吸器学会
【参照サイト】厚生労働省 シックハウス対策のページ
【参照サイト】いわき市消防本部 エアコン内部洗浄による火災に注意!
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