曲げわっぱの特徴や魅力とは?冷めてもおいしいお弁当箱・木曽漆器めんぱも紹介

曲げわっぱの特徴や魅力を知ることで、お弁当箱の選択肢が広がります。曲げわっぱは、プラスチック製のお弁当箱と異なり、「冷めてもおいしい」「軽くて耐久性がある」などのメリットがあります。

この記事では、曲げわっぱの特徴や魅力、お手入れ方法を紹介しつつ、冷めてもおいしいお弁当箱・木曽漆器めんぱについても解説します。自分にあった曲げわっぱを選べば、仕事や行楽でのお弁当がもっとおいしく楽しくなるので、ぜひ最後までお読みください。

曲げわっぱの特徴

曲げわっぱとは、弾力性に富んだ美しい木目の天然木を薄くはぎ、熱湯で柔らかくして曲げたあと、桜などの木の皮でつなぎ目を縫い止めて作られたお弁当箱です。

全国各地に曲げわっぱがあり、産地ごとに「めんぱ」「曲物(まげもの)」などの呼び方をされている工芸品の総称です。

ここでは、職人さんの手仕事や地元の木材によって作られている曲げわっぱの特徴を解説します。

職人の高い技術で作られている

曲げわっぱは一つひとつ職人さんが手作りしています。

曲げわっぱの作業工程の一例を以下に挙げます。

  • 曲げ
  • 成形
  • 底板づくり・底板はめ
  • カンナ・ヤスリがけ
  • 漆塗り(漆塗りの曲げわっぱの場合)

曲げわっぱの制作には緻密で高い技術が必要なため、ベテランになるには10年以上かかるともいわれています。

曲げて成形した木材は一つひとつ微妙にサイズが異なるため、底板がしっかりはまるように調整するのが職人さんの腕の見せどころです。その後、カンナやヤスリを丁寧にかけて、曲げわっぱが心地よく手におさまるような質感にします。

丁寧で実直に作られた曲げわっぱは、職人さんが長い時間をかけて培った技術によって支えられているのです。

地元の木材を使う

曲げわっぱは、選びぬかれた地元の杉やひのきなどの木材によって作られた、地域に根づいた工芸品です。

たとえば、秋田県の大館曲げわっぱには樹齢200~300年の天然秋田杉のまっすぐ揃った美しい柾目が使われています。

曲げわっぱに適した木材は、見た目の美しさだけでなく、耐久性にもこだわって選ばれています。地域ごとに使用される木材は異なるため、曲げわっぱを選ぶさいにはお好みの質感や香りで選ぶのもよいでしょう。

曲げわっぱの魅力

曲げわっぱには、天然木で作っていることから、多くの魅力があります。

ここでは、曲げわっぱのデザイン性や使い勝手のよさについて紹介します。

冷めてもおいしいお弁当箱である

白木(無塗装)や漆塗りの曲げわっぱの特徴として、時間が経っても炊きたてのごはんのようにおいしいことが挙げられます。

木や漆には吸湿効果があるため、多湿のさいには余分な水蒸気を吸収したり、乾燥しているさいには水分を出したりして、湿度を適度に保ちます。

曲げわっぱ自体が呼吸をするため、朝にお弁当を詰めてから、昼に食べるときまでごはんがふっくらとちょうどよい状態を保っているのです。

また、木の特性として断熱性による保温効果があるため、寒い冬でもごはんが固くなりにくいことも魅力です。

なお、ウレタン塗装の曲げわっぱには吸湿効果がないため、冷めてもおいしい状態を保つ効果はありません。

美しいデザインでお弁当を引き立たせる

曲げわっぱの薄い木を曲げて作ったシンプルな小判形や円形のデザインが、いつものお弁当をよりおいしそうに見せます。曲げわっぱには深さがあるので、おかずが立体的に見えお弁当が引き立ちます。

白木であれば木目が、漆塗りなら漆のつやと深みのある色が美しく、SNSに映えやすいのもよい点でしょう。

軽くて耐久性がある

曲げわっぱは、木を薄く剥いで作られているため軽いのが魅力です。プラスチックのお弁当箱と比べて、手に持ったときの軽さが違います。

くわえて、小判形や円形のフォルムなので角が弱い四角形のお弁当箱に比べて、強度があることも魅力です。

曲げわっぱは、使うほどに木が引き締まり耐久性が増していきます。きちんとお手入れをして使えば何十年と長く使い続けられるでしょう。

木の香りがする

白木(無塗装)の曲げわっぱであれば塗装されていないため、木の香りが楽しめます。杉やひのき、桐など木によって香りが異なるので、好みの香りで曲げわっぱを選んでもよいでしょう。

なお、漆塗りやウレタン塗装の曲げわっぱについては、コーティングされているため木の香りがありません。

曲げわっぱの塗り方による違い

曲げわっぱには、白木(無塗装)、漆塗り、ウレタン塗装の3種類があります。

ここでは、曲げわっぱの塗り方による、それぞれの特徴や効果について解説します。

白木(無塗装)

木の表面をコーティングしていない、無垢のままの「白木」と呼ばれる曲げわっぱです。塗装されていないため、木目の美しさや香りが楽しめます。

木の調湿作用によってお弁当の水分がほどよく調節されるため、時間が経ってもふっくらおいしいごはんであることが特徴です。また、天然木由来の抗菌作用が期待できるため、お弁当が痛みにくいのもよい点です。

一方で、カビの発生や油やタレなどの汚れジミ、洗うのに洗剤が使えないことなど、取り扱いに注意する必要があります。

漆塗り

漆塗りで表面を塗装した曲げわっぱもあります。漆の色や塗り方によりますが、下地の木目が透けて見えて美しく、漆特有のつやも楽しめます。

漆が塗られているため、無塗装の白木よりも耐久性があります。くわえて、漆には調湿効果と抗菌作用があるため、ごはんがおいしいことと、傷みにくいことがメリットです。

油や汚れにも強く、洗剤で洗えるのでお手入れしやすいのも特徴です。

ウレタン塗装

ウレタン樹脂によって塗装された曲げわっぱです。職人さん手作りの工芸品である白木や漆塗りの曲げわっぱとは異なり、工場などで量産されているため安価で出回っています。

油や汚れに強く洗剤の使用も可能ですが、調湿作用がないので「時間が経ってもごはんがふっくらおいしい」ということを期待できません。

また、木の香りや殺菌効果がない反面、ウレタン樹脂特有の匂いがすることがあります。

曲げわっぱのお手入れ方法

曲げわっぱは注意すべき点を押さえてお手入れすれば、長期にわたって使うことができます。

白木や漆塗りなど種類によって洗い方が異なるため、それぞれについてくわしく解説していきます。

使い方

使い始めるまえには、ぬるま湯に数回通してから風通しのよい場所で乾燥させましょう。匂いや汚れの浸透を防げます。

食事のさいは木地が痛むおそれがあるため、金属製のスプーンやフォークを使わないようにしてください。

熱に弱いため、直火やレンジ、オーブンの使用はできません。

洗い方

「白木」と「漆塗り・ウレタン塗装」で共通の洗い方のコツは以下のとおりです。

  • 使い終わったらなるべく早く洗う
  • 表面を傷つけないよう柔らかいスポンジで優しく洗う
  • たわし・クレンザー・漂白剤・重曹・食洗機・乾燥機は使用不可

曲げわっぱのなかに食べ物が残ったままだと、汚れジミやカビの発生につながるので、早めに洗うことが重要です。洗い終わったらふきんで拭いて上向きで乾かしましょう。

そのほか、「白木」と「漆塗り・ウレタン塗装」のそれぞれの洗い方について、以下で説明します。

白木(無塗装)

白木の曲げわっぱは80~90度の熱めのお湯で5~10分ふやかしてから、柔らかいスポンジで木目にそって洗いましょう。無塗装の木地だと、洗剤を吸収してしまうため使わないでください。

すすぎも熱いお湯でおこなったら、すぐにふきんで拭いて上向きに乾かすことが重要です。

漆塗り・ウレタン塗装

漆塗りとウレタン塗装の場合は、中性洗剤と柔らかいスポンジで洗います。ぬるま湯ですすいだら、すぐにふきんで拭いて上向きで乾燥させましょう。

保管方法

水気を飛ばして十分に乾かしたら、直射日光や高温・多湿の場所を避けて保管しましょう。保管に適さない環境下では、変色や劣化のおそれがあります。

全国各地の曲げわっぱ

木を曲げて作ったお弁当箱を総称して「曲げわっぱ」と呼びます。

曲げわっぱは全国各地で作られており、地域によって呼び方が異なるため以下に紹介します。

  • 秋田県 大館曲げわっぱ
  • 青森県 ひばの曲物
  • 福島県 檜枝岐わっぱ
  • 栃木県 日光曲物
  • 群馬県 入山めんぱ
  • 静岡県 井川めんぱ
  • 長野県 木曽桧のめんぱ
  • 福岡県 博多曲物

地域ごとに杉やひのき、桐などと使われる木の種類が異なります。また、製法も白木(無塗装)や漆塗りなどといった違いはありますが、地元の木を使った職人の手作りという点で共通する工芸品です。

秋田県 大館曲げわっぱ

大館曲げわっぱは、天然秋田杉を薄く剥いで加工し、山桜の皮で縫い止めて作ります。1980年に国の伝統的工芸品として指定を受けており、明るく優美な木肌と整った木目のすばらしさは海外にまで知れ渡っています。

青森県 ひばの曲物

青森県のひばの曲物は、日本三大美林のひとつである青森ヒバで作られます。耐久力があり樹脂成分が多く、水分がしみにくいのが特徴です。お弁当箱だけでなく、木目を生かしたセイロやひしゃくなどの器もあります。

福島県 檜枝岐わっぱ

檜枝岐わっぱは鎌倉時代から600年の伝統を誇る曲げわっぱです。南会津地域の名産品で、檜枝岐村を主な産地とし、黒檜と山桜の皮を使って、弁当箱や花器、小物入れなどが作られています。

栃木県 日光曲物

栃木県の日光曲物は、欅や檜、杉の薄板を曲げ、樺や桜の皮で閉じて形を整えます。横曲、縦曲の技法を1つの作品の中で用いているのが特徴で、華器や茶道用器などが作られています。

群馬県 入山めんぱ

入山めんぱは、群馬県北部の入山地区で江戸時代から製作されています。赤松や桜の皮、竹などで作られ、素朴さが魅力の日常使いのお弁当箱です。お米に赤松の香りがふんわりと漂います。

静岡県 井川めんぱ

井川めんぱとは、天然漆の美しい光沢と長年使用できる丈夫さが特徴のお弁当箱です。ヒノキの薄い板を曲げ、山桜の皮で縫い合わせた後、生漆を塗って仕上げます。 古くなっても漆を塗り直すことで何年でも使えます。

長野県 木曽桧のめんぱ

長野県の木曽桧のめんぱは、ひのきやさわら、桜皮を使用し、漆塗りで仕上げるお弁当箱です。吸水性や通気性に富んでおり、普段使いも可能です。木肌が透けて見える「拭き漆仕上げ」のため、木目の持つ素朴さや温かさが感じられます。

福岡県 博多曲物

福岡県の博多曲物は、応神天皇に奉納した木箱が発祥と言われ、約300年の伝統を誇る工芸品です。杉や檜などを桜の皮でつなぎ合わせて作ります。お弁当箱のほか、めしびつや三段重、茶道具、小物入れ、ふた付菓子器などの商品があります。

木曽漆器めんぱを紹介

木曽漆器めんぱは、長野県木曽地方で作られる漆塗りの曲げわっぱです。

地元の良質なひのきやさわら、桜皮を使用し、ベテランの職人さんが一つひとつ手作りしています。

「めんぱ」の由来は、木こりが「ごはんをめいっぱい詰めこんだこと」といわれています。また、木こりが山仕事のさいに、めんぱの蓋に川の水と焼いた石を入れて味噌汁を作ったというエピソードがその耐久性を物語っています。

冷めてもおいしいだけでなく、美しさや実用性などさまざまな魅力も解説していきますので、曲げわっぱを検討されている方は、ぜひお読みください。

冷めてもおいしい

木曽漆器めんぱには漆塗りが施されているため、天然の吸湿効果があります。お弁当箱内の水分をほどよくコントロールしてくれるため、朝に詰めたごはんでもふっくらしておいしいのです。

一方、プラスチック製品では余計な水分がお弁当箱に残るため、ごはんがべたついて食感やおいしさが損なわれた経験はありませんか。一度曲げわっぱのお弁当箱を使い始めると、おいしさの違いに驚くでしょう。

また、木曽漆器めんぱに使われているひのきは断熱性に優れています。そのため、保温効果によって冬でもごはんが固くなりにくいこともおいしさの秘密です。

夏場でもごはんが傷みにくい

木曽漆器めんぱは、ひのきの表面に生漆を何度もすり込む「拭き漆仕上げ」という技法によって作られています。

漆には抗菌作用があるため、暑い時期でも細菌が繁殖しにくく、ごはんが痛みにくいのです。

そのため、年間を通して安心しておいしいお弁当を食べることができます。

ただし、天然素材で作られているため、抗菌作用には限界があります。できたてのごはんやおかずをすぐに詰めることはせずに、粗熱を取ってから詰めてください。

汚れに強くお手入れが簡単である

木地に生漆を何度もすり込んで拭き上げているため、汚れを防ぐことができ、お弁当の油分やタレ汚れにも強いのが特徴です。

洗う際にはスポンジと食器用洗剤が使えるので、ほかの食器類と同じ感覚で洗えるのもよい点です。お手入れが簡単だとより長く使い続けやすいでしょう。

長く使うほどつやが出る

木曽漆器めんぱは、生漆を何度も塗り重ねることで独特のつやが出ます。ただ、完成したばかりのめんぱは漆の粒子が不揃いのため、本来の輝きを放っているとはいえません。

漆塗りは、普段の生活のなかで長く使うほど、徐々に粒子が削れてつやが増す性質を持っています。使いこむほどに自分だけのつやが現れるため、世界にひとつだけの輝きを持つ器を育てていく感覚を楽しめるでしょう。

漆器について、よりくわしく知りたい方は「漆器とは?独自の魅力や購入時の注意点・産地ごとの種類を紹介」をご確認ください。

冷めてもおいしいお弁当箱・木曽漆器めんぱで出かけよう

曲げわっぱは、選びぬかれた地元の木を使い、職人さんの高い技術によって作られた工芸品です。

また、曲げわっぱの魅力は、すっきりしたデザインにくわえて軽くて丈夫なこと、夏でもごはんが傷みにくく年間を通して冷めてもおいしいことが挙げられます。

白木、漆塗り、ウレタン塗装によって曲げわっぱは3種類に分類され、白木と漆塗りの曲げわっぱは全国各地の職人さんによって守り伝えられています。

長野県木曽地方の「木曽漆器めんぱ」は漆塗りが施されているため、白木の曲げわっぱと比べてより丈夫でお手入れも簡単です。長く使うほどに漆独特のつやが増し、自分だけの輝きになるのも魅力のひとつといえます。

仕事や行楽のさいに木曽漆器めんぱにお弁当を詰めて出かければ、毎日の食事や暮らしがもっと楽しくなるでしょう。

冷めてもおいしいお弁当箱を検討されている方は、ぜひこちらからチェックしてみてください。

【参照サイト】大館曲げわっぱ協同組合「大館曲げわっぱとは」

【参照サイト】老舗栗久「製品ごとのお手入れ方法」

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