オイルヒーターとは、電気でオイルを温める仕組みの暖房器具です。エアコンやガスストーブ、石油ファンヒーターなどと異なり、火や温風を使わない点が特徴です。自宅や勤務先などで使用した経験がない方にとっては、あまり馴染みがないかもしれません。
この記事では、オイルヒーターの仕組みやメリットとデメリット、器具の選び方や使い方について説明します。さらにオイルヒーターより優れているオイルレスヒーターも紹介するので、冬を快適に過ごしたい方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
オイルヒーターは、オイルを燃やすのではなく、電気でオイルを温めて発生する熱により、部屋を暖める仕組みです。この熱の伝わり方を「輻射(ふくしゃ)」といいます。
熱の伝わり方には、輻射を含めて次の3つがあります。
多くの暖房器具では、伝導か対流により部屋を暖めます。たとえば石油ファンヒーターは燃焼により空気を温め、ファンで温風を室内へ広げる対流タイプです。
一方、オイルヒーターでは伝導によりオイルを温め、器具本体から「輻射」によって伝わる熱(輻射熱)で部屋全体が暖まります。輻射は太陽が地球を暖めるのと同じ仕組みです。
なお、オイルヒーターの技術を受け継ぎながら、オイルを使わないオイルレスヒーターも存在するので、後ほど紹介します。
オイルヒーターは、シンプルな構造で輻射熱により部屋を暖める暖房器具です。その特徴により、他の暖房器具とどのような違いが生まれるのか、押さえておきましょう。
ここでは、オイルヒーターのメリットを6つ紹介します。
オイルヒーターは部屋全体をゆっくりと均等に暖めるため、身体が芯から暖まります。これは輻射熱による効果です。
エアコンや石油ファンヒーターは、温風で室温を急速に上げるため、身体の表面は暖まるものの、芯まで暖まるのには時間がかかります。
オイルヒーターであれば部屋全体が優しくふんわりとやわらかい空気で満たされ、寒い冬の日々でも快適に過ごせます。
オイルヒーターは温風を出さないため、部屋を乾燥させにくく、お肌やのどにやさしいです。
反対に、多くの暖房器具では温風を出して部屋を暖めるため、乾燥しやすくなってしまいます。お肌の表面から蒸発した水蒸気が温風によって空気中に拡散されることで、乾きやすくなるのです。
肌が敏感な方や乾燥による呼吸器系の問題を抱えている方は、オイルヒーターを使うことで冬をより快適に過ごせるでしょう。
オイルヒーターでは火を使わず、電気によって温められたオイルにより部屋を暖めます。
火災の危険性が低いうえに、表面温度が低めのため、やけどしにくい点がメリットです。子供やペットがいる家庭では重要なポイントでしょう。
多くのオイルヒーターは、転倒したり異常加熱したりすると自動的にオフになる安全機能もあるため、家庭で安心して使用できます。
オイルヒーターでは温風が出ないため、室内のホコリやハウスダスト、花粉などを巻き上げることがなく、空気がきれいです。さらに火を使わないため、燃焼時の嫌な匂いがしないだけでなく、二酸化炭素も増加しません。
一方、石油やガスを使うストーブでは、不完全燃焼があれば身体にとって危険な一酸化炭素が発生します。燃焼物によっては、その他の有害ガスが発生することもあるでしょう。オイルヒーターでは、そうした有害ガスは発生しないのです。
冬は窓を閉め切っていることが多いため、アレルギーのある方や呼吸器系の疾患がある方にとって、部屋の空気をきれいに保つことは大切です。
オイルヒーターは温風を出さないため、モーターのように動く部分がなく、音が出ません。就寝時や読書、勉強、仕事などを静かにしたいときに最適です。
音に敏感な方や静かな環境を好む方にとって、オイルヒーターは魅力的といえます。
シンプルな構造ゆえに、清掃が簡単な点もオイルヒーターならではです。本体の掃除はから拭きする程度で十分です。さらに密閉されたオイルは劣化しないため、補充や交換をする必要がありません。
エアコンのようなフィルター掃除や、石油ストーブのような分解掃除も不要です。定期的なメンテナンスにかかる手間やコストが大幅に削減できます。
忙しい方にとって、オイルヒーターは手軽に使える暖房器具として重宝するでしょう。
オイルヒーターは、メリットばかりではありません。輻射熱の特性や仕組みによるデメリットも存在しますが、対策とあわせて紹介するので参考にしてください。
火を使ったり温風を送ったりする方法に比べ、輻射熱による暖房は暖まるまでに時間がかかります。ただ、一度暖まれば部屋全体がふんわりとしたやわらかい空気に包まれます。
タイマー機能を活用するなどして、前もってオイルヒーターをつけておくのが効果的です。
オイルヒーターは比較的多くの電力を消費するため、電気代が高くなる傾向があります。
ユーレックス社のオイルヒーターでは、10畳の部屋で1500Wの器具を使用した場合、通常運転時で1時間あたり21.7円です。
※建物の構造・断熱性:RC集合住宅・新省エネ基準(Ⅳ地域)に適合住宅で想定。
・運転時間:9時間
・お部屋の広さ:10畳
・1kW/時の電気代は31円(※)で計算 (※2023年11月現在)
しかし、設定温度を低めにしたり、タイマーや省エネモードを使用したりすることで、電力消費を抑えられます。部屋の気密性を上げる対策を施すことも有効です。
フィンと呼ばれるパネルの中にオイルが入っているため、オイルヒーターの本体は重量があります。フィン自体もスチールなどの金属で作られていることから、重くなりやすいです。
しかし、オイルヒーターはキャスターが付いた機種が多く、なかにはハンドルがついたモデルもあります。頻繁に動かすことが考えられる場合は、移動しやすいタイプを選ぶとよいでしょう。
重量が気になる方は、オイルがなくて軽い「オイルレスヒーター」を選択するのも方法のひとつです。
より心地よく使うためには、デメリットをなるべく抑えて、メリットを生かしたいものです。ここではオイルヒーターを選ぶ際にチェックした方が良いポイントを5つ紹介します。
最適なモデルを選び、より快適に冬を過ごしましょう。
部屋の大きさに最適なオイルヒーターを選ぶことは、外せないポイントです。対応する部屋の広さは機種ごとに設定されているため、どの部屋で使うのか決めてから選びましょう。
たとえばユーレックス社の製品では、3〜8畳タイプ、4〜10畳タイプ、6〜13畳タイプ(200V専用)と32種類から選べます。
小さなタイプは本体価格や電力消費量を抑えられますが、発する熱量が部屋の広さに対して不足していては、十分に暖まりません。
一方、大きいタイプならば、常に最大の電力消費量で運転されるわけではなく、機種によっては運転する際のW数を手動で小さくすることが可能です。タイマーや温度設定により調整できる機種もあります。
そのため、実際の部屋の広さよりも少し大きめの面積までカバーできるタイプを購入しておくと、状況にあわせて調整しやすくなるでしょう。
オイルヒーターは、フィンの中に充填されたオイルを温める仕組みのため、フィンの表面積が大きいほど効率的に暖められます。枚数を増やすだけでなく、フィンの形状をウェーブ型やX字型にすることで表面積を大きくしているタイプも見られます。
ユーレックス社の製品では、3〜8畳タイプのフィンの枚数は8枚、4〜10畳タイプでは11〜12枚です。対応する畳数が同じでも、フィンの枚数が異なる機種もあるため、部屋や設置場所に合わせて選びましょう
オイルヒーターを使いやすくするためには、タイマー機能が欠かせません。
起床前や帰宅前に電源がオンになるよう設定すれば、暖まるまでに時間がかかる点を解消でき、快適にオイルヒーターを使えます。また、自動でオフになる設定をすれば、切り忘れを防止できて安全なうえ、電気代の節約にもなります。
ユーレックス社の製品では、1時間ごとに室温の設定ができるタイマーがあるため、一度設定をしておけば、冬の間はこまめな調整が必要なく便利です。
省エネモードとは、通常運転時よりも電力消費量を抑えられるモードのことです。
マイコン制御で温度管理をし、室温に合わせて出力を調整できる機能を搭載したモデルもあります。運転コストが抑えられ、経済的に使用することが可能です。長時間の使用を考えている方は、省エネモードがあるかを確認しましょう。
ユーレックス社は創業当時からマイコン制御にこだわり、独自の技術を培っています。部屋の温度をセンサーで感知し、設定温度を保つために必要な電力を計算することで、安定的に室温を管理できます。
冬は毎日使う暖房器具だからこそ、使いやすさは大切です。直感的で理解しやすい操作パネルやリモコンがあると便利です。たとえば海外製の製品は、英語表記で操作しにくいと感じる場面もあるでしょう。
国内メーカーであるユーレックス社の製品であれば、操作パネルは全て日本語表記です。また、ボタンが少なく簡単に使えるような設計にしています。パネルは上面にあるため、腰をかがめず立ったまま操作できるのも便利です。
オイルヒーターは電気使用料が大きくなるため、使い方に工夫が必要です。ここでは、オイルヒーターを最大限に活用するための秘訣を4つ紹介します。
オイルヒーターは火や温風ではなく、輻射熱でじんわりと部屋を暖めます。そのため、冷気が強い場所があると部屋の中に温度ムラができ、暖房効率が低下してしまいます。
窓や入り口といった場所にオイルヒーターを置くことで、冷気が部屋の中に広がるのを防いで効率よく部屋を暖められます。
気密性が低いと暖かい空気が隙間から逃げてしまうため、部屋が暖まりません。反対に気密性が高ければ部屋全体を効率よく暖めることができ、暖房費を節約できます。
近年建築された住宅やマンションであれば、一定レベル以上の気密性は保たれているでしょう。古い住宅で気密性が高くない場合も、窓に断熱シートや断熱カーテンを使ったり、窓やドア下の隙間をふさいだりすることで、暖かい空気が外に逃げにくくなります。
オイルヒーターの設定温度をやや低めにすることも効果的です。
輻射熱で部屋全体を暖めることによって、身体の芯まで暖まるため、エアコンでの設定温度よりやや低めでも体感的には暖かく感じます。結果的に、電気代を抑えられるでしょう。
ユーレックス社のオイルヒーターには、設定温度よりも自動的に1度低い温度で運転する省エネモード(エコモード)を搭載しています。
多くのオイルヒーターにあるタイマー機能や省エネモードを使えば、こまめな運転停止や出力の調整が自動でおこなえます。
就寝時にタイマーを設定して自動的にオフにしたり、省エネモードで運転コストを抑えたりすることで、無駄な電力消費を防いでエネルギー効率を高められます。
オイルレスヒーターは、オイルヒーターの技術を受け継ぎつつ、より進化した暖房器具です。オイルヒーターの欠点を克服し、より使いやすく、より効率的になっています。
オイルレスヒーターがオイルヒーターより優れている点を2つ解説します。
オイルレスヒーターはオイルを暖めるのではなく、取り込んだ空気を暖めて自然対流を起こす仕組みです。オイルよりも空気のほうが暖まるのが早いうえに、自然対流も発生させるため、オイルレスヒーターは、オイルヒーターよりも早く暖まることが強みです。
ユーレックス社のオイルレスヒーター(ヘリテイジヒーター)は、独自開発したヒーターユニットにより、従来のオイルヒーターと比べて約2倍の早さで暖まります。
本体側面から発生する輻射熱と自然対流が合わさり、陽だまりのようなやさしい暖かさが部屋を包み込みます。
オイルレスヒーターにはオイルが内蔵されていないため、器具本体がオイルヒーターよりも軽量です。
ユーレックス社の1500W機種で比較すると、オイルレスヒーターはオイルヒーターよりも約6.5kg軽くなっています。掃除の際の移動や、シーズンオフのときの片付けなどが楽にできます。
オイルヒーターは、輻射熱により身体を芯から暖め、上質な暖かさをつくります。部屋が乾燥しにくく、安全性が高いうえにお手入れが楽といったメリットもあります。
そのオイルヒーターよりも、今さらに注目されているのはオイルレスヒーターです。これから暖房器具を選ぶなら、より新しい技術で作られたオイルレスヒーターを検討してみてはいかがでしょうか。
オイルレスヒーターなら、輻射熱に加えて自然対流を発生させるため、より早く暖まります。使用する部屋や状況に合わせて適切な暖房器具を選び、寒い冬を快適に過ごしましょう。
オイルレスヒーターに関するご相談は、ユーレックスにて受け付けております。
お問い合わせやご相談はこちらから。
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